ありがとう。








「なに勝手にそっち行ってるんだよ。俺を置いてくんじゃねーよ。」



長谷川は何も言わない。




美喜だったら、俺の言葉におどおどして不安そうに上目遣いで



『奏?』



って呼ぶんだろうな。






「お前が自殺しようとした時、誰が助けてやったと思ってるんだよ。なのに結局さ・・・。しかも、約束まで破りやがって。」





長谷川は自殺のことに驚いたのか、一瞬ピクっと肩を揺らした。





「泣き虫で、我慢ばっかして、自分より他人ばっかに気を遣って。


俺がいなかったら、誰がお前を抱きしめて、お前の涙を受け止めんだよ?」





美喜、お前は1人で生きていけないだろ?



俺がいなきゃ何も出来ないじゃないか。




「お前は危なっかしいから。

すっごい心配なんだけど。


てかお前のことどれだけ心配してるのかちゃんとわかってんのか?」





お前は全部自分で背負ってしまうから



誰かが一緒に背負わないといつか耐えらんなくなるだろ?







「美喜、大好きだ。
世界中の誰よりも愛してる。」




だから



「おまえがっ、・・いないと生きていけない。」





本気でそう思ってしまうんだ。










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