ありがとう。






ふと、画面の隅をみるとスタンバイしているのであろう、お天気キャスターの顔が一瞬だけ映った。




「あ。」




気づいたであろう、お父さんーー勝利が声を漏らした。





そのキャスターの顔は涙でメイクが落ちていて、すごい酷いものだった。




しかし、それも気にならないのか、辛そうな顔で涙を拭かずにいたのだ。





「テレビの仕事なのに、そんな顔じゃダメじゃん、理香子。」



「詩歌も泣いてたのか。」



「先月のCD売上1位様が何をしてんだかね・・・。」




頬を流れるたくさんの雫を娘が拭ってくれる。




「もしかしてSIIKAとキャスターの理香子さんってもしかして、お母さんがよく話してくれる・・・。」



「そうだよ。私と勝利と詩歌と理香子は幼馴染で親友なの。それと・・・。」



「亡くなった医者の一ノ瀬っていうのも父さんたちの親友なんだ。」



「あれ?でも、お父さんたちの親友ってお父さんたちも合わせて全員で6人でしょ?」





そうだよ。



私たちはいつも6人だった。









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