ありがとう。
《美喜side》



私は急いで教室を出た。




奏君とは、真実を聞かされた日から、一緒に登下校をすることを断っていた。






でも、今日は一緒に話さなきゃいけないことがあるから。




奏君が東京に行く前に、言わなくちゃいけないことがあるから。




だから、



私は玄関で、靴を履こうとしている奏君を呼んだ。






「奏君!」




不思議そうに振り返る大好きな人に、



私自身が傷付くことになるかもしれないけれど、真実を確かめるために、私は言った。



「一緒に帰ろう?」





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