溺愛マイヒーロー
「やー……、そもそも休日だとしても、部活はあるだろーし」

「言うと思った。けど、いっつも泥まみれで汗くさい男共の世話ばっかしてんでしょ? 琴里自身だって、あんまりオシャレとかできないし。ちょっとはさ、部活のこと忘れて遊んでみなよー。相手、大学生の予定だし」

「んんー……」



泥まみれでも、汗くさくても。それでもあたしは、一生懸命野球をしてるみんなが大好きなんだけどな。

それになんだかんだで、部活に出ればクラスの違う悠介とも会えるわけだし。

……けど自分のことを言われてしまうと、やっぱり、綺麗な爪やアクセサリーをしている瑞穂にも、憧れはあるわけで。



「……考えとく」

「よし!」



曖昧な返事をしておいたあたしに、そう言って笑った瑞穂の茶色い巻き髪が、ふわりと揺れて。

もしあたしがふわふわパーマをかけたりしたら、悠介はなんて言うかなぁなんて、ぼんやり思ってしまった。
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