溺愛マイヒーロー
首にかけたタオルでぐいっと自分のこめかみを拭うヒロに、今度は俺から話題を振る。



「ヒロさー、彼女作んないの? そうすりゃ少しは変わるかもよ?」

「いい、面倒くさい。すきなヤツとかもいねーし」

「そっかー」



もったいないな、コイツ目つきとか口とか悪いわりにはそこそこモテるのに。

そんなことを考えながら、くるくると手の中でボールをもてあそぶ。

俺の振りをバッサリ切ったヒロはちらりとこちらを一瞥して、表情を変えずにまた口を開いた。



「……つーか、おまえは?」

「へ?」

「彼女。作んねーの?」

「……ん~……」



カノジョ。……“彼女”かぁー……。



「やー、俺も今は、野球が1番大事だからなー。誰かと付き合うとか考えらんねーかも」

「……そ」



呟いて、ふいっと顔を背けるヒロ。

……ん? あれれ、もしかしてこの反応は。
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