溺愛マイヒーロー
「汐谷お疲れー」

「お疲れさまっすー」

「あ、お疲れさまっ!」



時刻は午後2時過ぎ、土曜日のまだ明るい空の下。

自分のわきを通り抜けていく部員たちに、あたしはスコアブックを片しながら労いの言葉をかける。


今日も特に問題なく、部活が終了してよかった!

明日……日曜日は部活休みだし、次にみんなと顔を合わせるのは月曜日の朝練かぁ。



「……り、」



ああそういえば、明日の服どうしよう。直前になってあせらないように、ちゃんと今日のうちに用意しておかないと。



「……とり、」



ていうかあたし、合コンの人数とか遊ぶ場所とか、細かいこと全然聞いてないや。

ま、いいのかな。どうせ初めてだから、どっちにしろ雰囲気とかわかんないし。



「琴里!」

「へっ?!」



突然耳に届いた大きめの声に、思わず肩をはねさせる。

振り向くとそこには、ユニフォームのまま少し気まずそうな表情をして立つ、悠介。

ハッとしてまわりを見渡してみても他には誰もいなくて、あたしと悠介の姿しかない。
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