溺愛マイヒーロー
………って、



「待ったー!!」

「!?」



完全に固まっていたあたしが突然声をあげたものだから、悠介が驚いて目を開けた。

混乱した頭で、相変わらずの至近距離にびびりながらも、あたしは必死に言葉を紡ぐ。



「ちょっ、待って、……あ、あたしの気持ちは?!」

「……チッ、」

「なんで今舌打ちした?!」



思わず流されそうになってしまった自分を無理やり奮い立たせ、今度はあたしがさっきまでの悠介みたいにつっこんだら、彼は不服そうに口をとがらせた。



「……だって琴里、すきなヤツいんでしょ? だから何も言わせないまま、このまま流しちゃおうと思ったのに」

「な、」



な ん て こ と を ……!

あれ、悠介ってこんなキャラ?! こんな鬼畜キャラ?!



「ば、バカ!」

「………」



真っ赤な顔のまま一喝すると、悠介は視線を地面に落として押し黙る。

あたしは、さらに続けた。
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