可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 安西の妄想小説はさくさくと進んでいく。

 展開が早くて地の文が少ないのは、携帯小説ならでは、なんだろうな。

 ひたすら女であることを隠しつつ、無自覚な可愛らしさゆえ野郎どもの餌食になりそうな主人公。

 そして例の新撰組四人衆が「自分はノーマルなはずなのになぜ?」と苦悩する訳か。

 ……気付けよ。

 判るだろ、特に寮で同室の沖田!

 その前に、校長!

 命の恩人である主治医の娘を預かってるんなら、せめて寮の部屋は個室にしてやるくらいの配慮を見せるのが普通じゃないのか……?
 
 おかしい。ツッコミつつも、この展開から目が離せないのは何故だ!?


『冬休みになった。

 今日はせっかくのクリスマスイブだというのに、これから1週間、この学校の名物、山籠もりの進学合宿が始まる。

 普段、寄宿舎にいるあたしたちだけど、先生達もみんな一緒に寝泊りするのは初めて。

 先生とこれから1週間、ひとつ屋根の下で暮らせるのはとっても嬉しい。

 でも、大部屋でみんなと一緒なんて、あたしが女だってバレる確率が上がっちゃう!』
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