可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 あの時の予備校の先生方が、俺の師匠だと思っている。

 初任者研修や、校内研修でもいろんな授業を見たが、惹きつける授業は予備校にかなわない。

「それ聞いて納得。だから学校の先生っていうより、塾の講師みたいな感じだったんだ!」

 こいつ、教員でさえ気付かないことをズバリ言い当てた……。

 意外に鋭い観察眼は、やはり小説のネタ集めによって鍛えられたのか!?

「予備校講師は公立高校の教員よりずっとシビアな世界だぞ。やっぱり、講義が上手い先生は人気が出る。人気の授業はみんなが取るだろ?
 中にはモグリの奴もいてさ、講義室に生徒が入りきらなかったりするんだ。
 人気講師は、ギャラも上がるからな。まあ、俺もバイトの中ではトップクラスのギャラだったぞ」

 これのお陰で無事に学費が払えたからな。

「うん、きっと人気あったと思うな~。女の子にも人気あったでしょう?」

 とたんにニヤニヤしてそっちの話題に切り替えるあたり、やっぱり妄想女子高生だな。
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