可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「まあね。でも、生徒に手を出すとそれこそバイトはクビだからな。そう言ってとことん逃げたよ。今でも逃げ足には自信あり、だ」

 ……そう、生徒には絶対に手を出さない。

 当時、大学に彼女もいたのだが、よくヤキモチを焼かれて大変だったことを思い出した。

 特に俺の誕生日やクリスマス、バレンタインといったイベントは要注意で、プレゼントをもらっては、彼女が「受け取らないでって言ったでしょ!」と怒っていた。

 そうは言っても、せっかく用意してくれたものを突き返す事なんてできなかったのだが。

 そんな事を思い出していたら、安西が気持ち悪いほどニヤニヤして俺を観察している。

 また、妄想の世界に行ってしまったのか!?

 妄想小説は完結させたし、後は受験勉強に専念するんだろ!

 
「何にやけてんだよ! 妄想は一旦休んで、受験勉強に専念するんだろ?」

 
 そう言った途端、安西がまたしゅうううん、としぼんだ。

 そして。
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