可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「あのね、先生。私から夢がなくなったら、何にも残らなくなっちゃうよ?
夢と希望を女の子から取り上げちゃったら、一気にオバサンになっちゃうんだから!
お願い! また小説を書けるようになる日まで、ネタ集めだけはさせて! だって、もうすぐ女子高生じゃなくなっちゃうんだもん。観察対象の先生とも、会えなくなっちゃうでしょ? だから、今だけなの!」
上目づかいで胸の前で手を組む『お願い』のポーズをされてしまった。
安西から『妄想』……もとい『夢』を取り上げたら、確かに抜け殻になりそうだ。
これで『却下!』なんて言ったら、きっと『ううう……。こんなんじゃ私、受験地獄を乗り越えられないよ!』などと言われるんだろう。
仕方がない。
「ネタ集めだけならいい。でももう、更新するのはやめておかないと、感想ノートの返信だけで勉強時間が削られるぞ!」
「……は~い。これから真面目に頑張りま~す」
「よろしい。ネタ以外の質問、いつでも大歓迎だからな」
「えへへ。ありがとうございます。先生、頼りにしてるからっ!」
やっと本気で頑張る気になってくれたのは、素直に嬉しかった。