可愛い生徒(カノジョ)の育て方
10月の閻魔帳
 疲れた。

 本当に疲れた。

 今日は修学旅行の最終日。

 2年副担の俺は当然引率者になった訳だが、連日、ほとんど寝ていない疲労感たっぷりの身体で世界一有名なネズミの国へやって来た。

 安西だったらきっと

『違うよ! 夢と魔法の国なのっ! ここに来たら女の子は誰でもプリンセスになれるんだから』

 なんて言うんだろうな。

 大丈夫。お前なら、ここに来なくても十分夢と魔法を楽しめるはずだ。

 ……自分だけの妄想の世界で。


 夜は当然見廻りがある。一応、引率者でローテーションを組むが……。

 女の先生と50代と管理職は免除、40代は軽減措置あり。

 はいはい、下っ端が頑張ります。

 たまに命知らずな奴が、窓づたいに他の部屋へ行こうとしたり、非常階段でイチャついてたりする。

 人の恋路は邪魔したくないが、仕方なく止めに入り、それぞれの部屋に戻す。

 そんなに睨むな! 俺だって好きでこんな出歯亀みたいな事してんじゃねえよ!

 頼むからおとなしく部屋で寝てくれ。

 こういうことに、偏差値は関係ないらしいと初めて知った……。
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