可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「先生、お呼びですか?」

 安西が来た。1週間ぶりだな。

「呼んだ呼んだ。こんな時こそ『おかえりなさいませ、ご主人さま』って言って欲しいな~。そうしたら疲れもふっとぶんだけどさ」

 ちょっと、マジで言ってみて欲しかったりして。

 安西の声、なかなか高めの甘い声で可愛いんだよな。

 一瞬、期待したのだが。

「……」

 こいつから冷たい視線を向けられると、自分が相当情けない存在に思える。

「あれ? もしかして引いた?」

「ドン引きです……。あれは学校祭限定だもん!」

 やっぱり、引いたか。

「ま、冗談はさておき。見たぞ! 模試の成績! やっぱりやれば出来るだろ!」

「え? もう知ってるの? 何で?」

「俺、今日は授業もなかったから、学年主任の先生にお願いして見せてもらったんだ」

「だって、私の模試の成績表、家に持って帰ってるのに」

 俺は机の上を指差した。

「これが教員用の成績一覧。生徒に渡したものはこれの一部な」

 分厚いファイルに、予備校の名前が印刷されている。


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