可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 月曜日。

 国語の講習を見学させてもらった。

 そっと講義室の後ろのドアから中に入ると、後ろを振り返った安西が怪訝な顔をしていた。

 その様子だと、俺の腹黒い計画がバレたな。


 それから1時間経過。

 やっと退屈な講習が終わった。

 帰り支度を始めた安西に、こっそり囁いた。

「社会科準備室で待ってろ」

 理由を説明してやる。


 講習後、安西の担任から感想を求められたが、適当に濁しておいた。

 本音を言いたいが、ぐっと我慢した。

 今、本人を目の前にして言うのは得策ではない。

 しかも、来年退職する先生に言っても仕方がないのだ。

 やりきれない思いで、講義室を後にした。
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