可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 指先に伝わる、体温。

 柔らかくてすべすべした頬をつねるのが、もったいなくなってしまう。

 一瞬、びくっと肩を震わせて、びっくりした彼女の顔が赤くなっている。

 驚いてまん丸になった眼がもっと見たくて、そのまま上を向かせた。

 ますますびっくりした様子で、大きな目が何かを訴えているように見えた。


 ……俺、今、何しようとしてたんだ!?


 不安そうな顔をした安西が、それでも俺をじっと見ている。


 まさか……。

 むぎゅ~~~~~っ!

「ひょっほ!! ひゃひひゅふひょ~~~~」


 ……安西の頬を引き伸ばすと、奇妙な叫び声を上げて今までの雰囲気をぶち壊した。

 そう、これでいい……。


「ん? 現実感味わえただろ?」


 頬から手を離して、代わりに頭を「よ~しよしよしよしよし」する。

 これまでの信頼関係があるからこそ許される、教員としての俺がついやってしまった。

 問題にならないのは、ここまで。

 ……さっきは一瞬、血迷っただけだ。
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