可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「さて、本題な。昨日の夜、読ませてもらったぞ。単刀直入に言わせてもらう」

「はい! もう、激辛批評でお願いします!」

 授業中とはうって変わった、真剣な顔。このやる気の半分でも勉強に回していたら、数学で1を取ることもなかっただろうに。

「安西は全っ然解ってないな、高校教員がここまでご都合主義に動くわけないだろ」

「ううう。おっしゃる通りです……」

 解ってるのにそれを書いてるあたり、やっぱりそういう願望があるのか?

「まあ、安西の小説だけじゃなく、ドラマも漫画もだけどな、教員って私学以外みんな公務員なんだよ。そこは解るよな?」

「はい。うちも公立高校だから、先生も公務員ですよね?」

「そうだ、俺も北海道に雇われてる地方公務員。その公務員が絶対やっちゃいけないことって、まあ色々あるんだけど、中でも他の仕事と違うことは『信用失墜行為』な」

 当然、理解できない言葉だろうから、噛み砕いて説明する。

「簡単に言うとだな、公務員としてふさわしくないようなことをやらかして、信用をなくしちゃいけませんって事だ。極端な話、これだけでクビにもなるし、飛ばされるし、勤務評価もがた落ちだ」
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