可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 今日はクリスマスイブで、終業式。

 明日からは冬休み。

 ……だが。

 金曜日なので、政経の講習を入れる俺。

 嫌がらせではない、受験生にクリスマスなどない! というのはもちろんだが。

 ……クリスマスイブをほんの少しでも『彼女』と一緒に過ごしたかったから、という理由も実はある。

 さすがに、出席者は激減……。


「少ないなあ~。ま、予想通りだけど。ここにいるみんなの共通点は何だと思う?」

 一番前で毎回張り切って講習に出ている、4組の沖が手を挙げた。

 養護の先生いわく、要注意な女子。

「はい。受験にクリスマスは関係ないと思って頑張っている受験生です」

 真面目だな。

 でも、イマイチだ。

 他の教員にはウケても、俺にはウケない。

 こんな時、彼女ならなんと答えるだろうか?

 後ろの方の席でかすかに笑っている安西が眼に留まった。

「そこでニヤついてる安西、どう思う?」
< 161 / 282 >

この作品をシェア

pagetop