可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「先生、彼女いないんですよね?」

 沖が確認してくる。

 さっき安西が、俺に彼女がいないことを暴露したから仕方がない。

「まあ、ね」

「それじゃあ、私が立候補します!」

 やっぱり、そう来たか……。

 沖に対してだけなら、いつもの軽いノリでかわすこともできた。

 しかし、後ろで息を潜めてこの話を聞いているはずの安西にも、納得させるような断り方をしなくてはならない。

 俺は慎重に言葉を選んで、話し始めた。


「……気持ちは嬉しいよ。こんな可愛い子に立候補してもらえて、幸せだと思う。だけど、それでもし俺がOKしたらどうなるか、考えた事はあるか?」

 わざと安西にも聞こえるように、はっきりと話す。

「教師と生徒、だからですか? あとちょっとで私は卒業します! それまでの間、内緒にすればいいじゃないですか?」


 内緒で付き合う。

 バレないように付き合うことに成功したとしても、必ず後悔するに決まっている。
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