可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 R大学を受験することは今まで内緒にしていた。

 しかし今日、願書を出すときに、お母さんにバレてしまった。

 F女子への進学を希望していた両親は、金銭面の心配と一人暮らしに難色を示しているらしい。

 お姉さんに相談してみたら、俺に電話をかけて相談しなさい、とアドバイスされたらしい。

 いいお姉さんだな。


「解った。あさっての午後、家庭訪問するから、そのつもりでご両親に話しといてくれ。こっちからも家の電話にかけるけどな」

『え?いいの? だって、お正月休みだよ!? それにわざわざ申し訳ないよ。担任でもないのに……』


 俺以外の誰が責任持てるんだ?

 変なところで遠慮深いんだな。

「お前に気遣いされるとは思わなかったな。こうなったのも、元はといえば俺が撒いた種だからさ。おじいちゃん担任じゃ、まとまる話もまとまらないぞ」

『そうだけど……』

「遠慮すんな。それとも、俺には来て欲しくない? 俺はそんなに頼りないか?」
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