可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 悪いけど、ここで子守りするよりずっと大事な仕事なんだ。

 さんざん騒いでいた稜と薫は、さっきやっと寝たらしい。

 朝起きて、俺がいないと知ったら泣くだろうか?

 あとのフォローがしやすいように、別れ際に渡そうと思っていたおもちゃと手紙を、彼らの枕元にそっと置いた。
 

 それから、かつての自分の部屋の本棚を探した。

 あった。

 予備校が毎年出している偏差値のランキング本。

 俺が受験した年のものだから、もう10年も前のデータだ。

 パラパラとめくって、F女子をチェックする。

 国文はこの頃まだ偏差値62、か。

 R大は64のままだった。

 説得のための判断材料に持っていくことにした。

 頭の中で、どうやって安西の保護者を説得しようかと、シミュレーションをしていた。

 俺が、何とかしてやる。
 

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