可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「……確かに、その通り、かも」


「まあ、現実にありえない事を妄想するのがいいんだろうけどさ。正直、ちょっと恥ずかしくなるときがあるんだよ、自分の職業を言うのがさ」

 そう、世間の目は厳しいのだ。

 ごく一部の問題教員のせいで、真面目に頑張っている多くの教員までもがそういう目で見られてしまう。

 フィクションでそういう話が流行った時も酷かったらしい。

 だから俺はレンタルの会員証を作るときも、職名を記入するのが嫌だったりする。

 それを書いたら、大人な作品は当然借りられない……いや、そんなことじゃなくて。

 飲み屋でも『先生』なんて呼ばれるのは正直嫌だ。

 ましてや、自分で自分のことを『先生』なんて絶対に恥ずかしくて言えない。

 生徒の前では『俺』、他の教員や保護者の前では『私』で十分だと思っている。

 ただし。

「先生と生徒の恋愛は否定しない。事実、うちの間山先生のところもそうだってさ。あと、大森先生もな」

 世の中にはそういう夫婦が沢山いる。教員なんて出会いがほとんどないからな。

「えぇっ! 知らなかった……」
< 18 / 282 >

この作品をシェア

pagetop