可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「そういう子育てをしてきたんじゃないの、お父さんとお母さんは。自分の娘をもっと信じてよね!」

 お姉さん、カッコいいな。女だけど男前。

 ちょっとしたホームドラマを見せてもらった気分だ。

 お父さん、ぐうの音も出ないようだし、一件落着か……。

 こうして安西は、R大学を受験できるようになった。

 話し合いの最後に。

 説得のポイント、その5。褒める、認める、頑張りを評価する。

 ご両親に対して、今までの模試の資料を並べて、どれだけ安西が頑張っていたのか説明した。

 こんなに伸びる生徒は基礎学力がしっかりしているからだ、と。

 基礎学力は、小さい頃からの家庭の生活にも密接に関係がある。

 ご両親のしつけが行き届いているからこそだ、とご両親の教育力を褒め称えた。

 こんなにあったかい家庭で、大事に育てられたから、安西は性格がいいのだろう。

 ……お姉さんは長女だから、あの迫力なんだ、多分。

 ご両親からの信頼も得られたようだし。

 玄関で挨拶をして、別れ際。

「明日から学校にいるから、勉強しに来いよ。待ってるから」 と言っておいた。

 あとはお前が頑張る番だ。
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