可愛い生徒(カノジョ)の育て方
翌朝。
「先生、昨日は本当にありがとうございました」
縄張りに足を踏み入れるなり、お礼を言ってきた安西。
「良かったな。これで勉強に集中できるだろ? これからは余計なことなんて考えてないで、ひたすら頑張れよ」
「はい。頑張ります!」
「大変結構。……いいご家族だな、安西の家ってさ。あんな家族に囲まれたから、お前はいい子に育ったんだな」
「うん、いい子かどうかはわかんないけど、私は幸せだと思うよ。こんなにいい家族と、先生のお陰で大学へ行けるんだもん」
「……まだ合格してないぞ」
「うっ……そうでした……」
「さ、勉強勉強!」
必ず合格させなくては。
俺に今できるのはそれだけだ。
「そういえば。お前のお姉さん、なかなか凄い人なんだな。敵に回すととんでもなくおっかないだろ?」
そう聞くと、安西は大きく頷いた。
「……うん。やっぱり、わかる?」
「だよな、やっぱり」
二人で顔を見合わせて頷いた。