可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「昨日の安西のお姉さん、カッコ良かったな」

「でしょ~。自慢のお姉ちゃんなんだよ。あ、でも先生、たとえストライクゾーンでも狙っちゃダメだからね! ちゃんと同じ職場に彼がいるんだから!」

 そう言われて、即座に返事をした。

「いや、こちらから遠慮させていただきます」

 ……先月俺に聞いた、好きなタイプの話、覚えてるか?

 ちょっとだけ、反応を確かめたくなった。

「俺は怒ると怖い美人のお姉さんタイプより、元気でけなげな妹タイプの方が好きだ」

 ん? さすがに気づいたか?

 ほんのり、頬が赤くなっている。

 少しだけ照れたように笑っていたが、すぐに横に首を振って真面目な顔に戻った。

 ……やっぱり、こいつには婉曲表現は通じないらしい。

「先生も、昨日とっても頼りがいがあって、カッコよかったよ! お母さんも先生にすっごく惚れ込んでさ、朝、先生の分もお弁当作ってくれたの。お母さんと私、趣味が似てるんだよね~」
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