可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 それはまた、さっきの俺よりずっとストレートな表現だな。

「……お前、それ、素で言ってる?」

「え?」

 気づかないで言ってるのか。

「全く、お前にはかなわないな」

 また「よーしよしよしよしよし」をした。

 ホント、バカな子ほど可愛いとはよく言ったものだ。


 お昼は安西のお母さんが作ったお弁当を食べながら、政経の一問一答から問題を出す。

「はい、先生、あ~ん」

「……文化祭限定じゃなかったのか?」

「だって先生、問題集持ってるからお弁当つまめないでしょ?」

「そうだけど……いや、それはやっぱりまずいだろ」

「いいじゃない、誰もいないんだし」

「誰もいなけりゃいいって問題じゃない。誰もいなけりゃさらに問題がややこしくなったりする」

「意味がよくわかんないんだけど?」

 首をかしげて、至近距離から上目づかいで俺を見るな!

 つい抑えが効かなくなったらどうしてくれる!
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