可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 イライラして睨み付けた。

「だから、彼氏のためにそういうことはとっておけって!」

「今、いないからいいじゃない? 先生もいないみたいだし、私が誰かからヤキモチ焼かれちゃうなんてこともないよね?」

 そう言って、また一口サイズのおにぎりを俺の口へ入れようとしてきた。
 

 仕方がない。

 こいつにはマジで直球勝負で行くしかないらしい。

 安西の目を睨みながら、こう言った。


「このまま続けたら、信用失墜行為になりかねないからだ!」


 これで解っただろ!

 問題集を置いて、自分の弁当を一気に食べた。

 ……やっと今頃、気づいたか?

 怪訝な顔で俺を見るな!


「余計な事を考えないで、とにかく勉強だ!! 次の問題、行くぞ!!
不況であるにも関わらず、物価が上がり続けることを何と言う?」

「え? えっと、スタグフレーションです」

 こうして、入試まで他のことを考える余裕も与えず、ひたすら勉強させた。

 

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