可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 この様子だと、きっと合格通知を持ってきたんだよな?

 両手を差し出す。

「バレンタインのプレゼント、待ってた」

 そう言った途端、また顔を曇らせる。

「先生。もう職員室の机に山盛りのプレゼント、あるじゃない? 私のなんていらないよね?」

 ……そうか、妬いてるのか。それでさっきも帰ろうとしたのか。

「もらっておいて申し訳ないけれど、山盛りのチョコより、そっちの方がずっと貴重だ」

 安西のカバンを指差す。

「見せて」

 どんなチョコより、俺が待ち望んだもの。

「はい。お約束の品」

 封筒ごと、渡された。

 
「安西、良かったな。今まで頑張ったことは無駄じゃなかっただろ? 今までで一番嬉しいプレゼントだよ」

 あのおバカ女子高生が、京都の名門大学に合格とは。

 多分、半年前には誰も予想しなかっただろう。

 本当に、よく頑張った。

「よーしよしよしよしよし」

 少し、髪が伸びたんだな。

 さらさらしていい手触りだ。

 本物のチョコももらった。しかも手作り。

 可愛らしくラッピングされていてなかなかの美味。お姉さんと二人で作ったらしい。
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