可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「だから『信用失墜行為』に及ばないようにすれば、アリだろうな」

 これだけは譲れない条件だ。

「でも、それだと小説として面白くならないじゃないですか?」

 まだ言うか……。

「だから、そこをどう面白くしていくかが腕の見せ所なんだろうが」

「それができたら苦労しませんってば」

「それができないんだったら、このジャンルを書くのは諦めろ。そんなに禁断の恋愛が書きたいんだったら、歴史小説で身分違いの恋でも書いたらいいだろ? 勉強にもなるし」

「そんなの私が萌えませんっ!」

「とにかく、これ以上『問題教師』を増やさないでくれ」

 ……ため息をつく俺に、安西は容赦なく自分の要求を突き付けてきやがった。

「先生、私、先生のことをもっと知りたいの! そうすれば、ちゃんとした小説が書けると思います!」

 まだ諦めないのか。それを知る前に、受験勉強の大切さを知ってもらいたいが、今の安西には多分無理だろう。

 飽きるまで付き合いながら、勉強させるか。

 仕方がない。

「……仕事内容だけならいいぞ」

 こうして俺は、自分の縄張りを荒らされ、ネタにされ続けることとなった。
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