可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「……先生、そんなに見られたら恥ずかしいよ」

「ん? あ、ああ。すまない」

 そんなに見てたか。

「……あのね、そんな風に見つめられたら、私なんてすぐ誤解しちゃうよ?」

 指に巻いたリボンをくるくるといじりながら、頬を赤く染めている。

 誤解?

 俺が、安西に好意を持っているかも、という『誤解』か?

 ……実は、誤解ではない、なんて言ったら、どうする?

 もちろん、言えないけどな。

 今、俺が言えるのはここまでだ。

 この程度なら『予約』にもならないだろう。


「誤解、したままで卒業して欲しい」

「え?」

 多分、理解できずに首をかしげる安西に。

「まだまだ、だな」

「何が?」

「お前が、だよ」

 俺の『守備範囲』に入るまで。

 安西の頭をまた撫でる。

「どうせまだまだお子ちゃまですよ~!」

 膨れっ面もまた、可愛い。

 あと少し。

 もうすぐ、可愛い生徒が卒業する。
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