可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 ……気づいてたよ。

 俺はそんなに鈍感な男じゃない。

 お前こそ、知らないだろ。


 お前と一緒に勉強できることがどれだけ嬉しかったか。

 お前から頼られるのが、どれだけ誇らしかったか。

 お前が伸びるのを、どれだけ望んだか。

 ……お前に悟られないように、どれだけ自分を抑えたか。

 きっとこの小説を書きながら泣いていただろうって、容易に想像できる。

 

『「私、先生のことが好きです」

 勇気を振り絞って言った。

 先生は……かすかに微笑むだけ。

「お前はいつまでも、俺の可愛い教え子だよ。教え子として、俺もお前が好きだ。そう思ってもらえて、嬉しいよ」

 そっか……。

 先生にとって、私はやっぱり単なる教え子なんだね。

 生徒じゃない私には、興味がない。

 そういう事、だよね?

 でも、私が欲しかったのはそんな答えじゃないの……。

 先生は、私の本気から目をそらしたままだった』
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