可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 送信。

 すぐに安西から返事が届いた。

『お手伝いします』と。

 心底ほっとした。 断られたらどうしようかと思った。


 安西の家の近所で待ち合わせる。

 少しだけ待っていたら、現れた。

 また髪が少し伸びて、大人びた表情をしていた。

 俺の車に気づいて、後部座席のドアを開けて乗り込んだ。

 他には誰もいなくても、助手席には乗らないんだな。
 

「お待たせして、すみません」

 バックミラー越しに、1ヶ月ぶりの安西の顔を見た。

 ……痩せた、か?

「いや、こっちこそこんな時間に呼び出してすまない」

 もう夕方の5時半を過ぎてしまった。すぐに車を発進させる。

「……これ、もしも見つからなかったら、どうなるの?」

 おそるおそる、と言った感じで聞かれた。

「情報自体は、学校のサーバーに同じものを入れたから、バックアップはできている。
 ただ、個人情報を外へ持ち出して無くしたとなると、間違いなく新聞沙汰だな」

「お家の中にあるのは確実なんですか?」

「ああ。甥か姪が持ち出していなければ、ね」

「それじゃあ、頑張って探しますね」
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