可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「ちなみにうちは一般の賃貸アパート。都市部だと単身者は公宅に住めないことが多い。まあ、公宅じゃない方がプライバシーは守られるな」

 学校の近くの公宅だと生徒が勝手に遊びに来ることもあり、色々気を遣う面も多いのだ。

 家の鍵を開け、先に彼女を案内する。

「どうぞ入って」

「……お邪魔します」

 きちんと靴を揃えて、部屋の中へ入る安西。

 物珍しそうに、キョロキョロと辺りを見回している。

 ……当然、一人暮らしの男の部屋に来るのは初めてのはず。

 俺もこの部屋に、独身の女の子を入れたのは初めてだが。

 彼女はリビングの隣にある、仕事部屋に行った。

 また、あちこち見て回っている。

 ここから探すつもりらしい。

 リビングにいる俺のところへ、一度戻ってきた。

「先生、書斎から探そうかと思うんだけど、いいですか? それと、メモリースティックって、紫色だったっけ?
 先生って、SONY好きだから、当然純正使ってるんだよね。
 もしや、メモリースティックDuo? あれだと小さいから、探すのも大変かも……」

 
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