可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 ダメだ……。もう限界。

 つい、吹き出してしまった。

 それを見た安西が、不思議そうな顔をして、自分自身をチェックしている。別に変なところなんかないぞ。

 私服の安西を見るのはこれで2回目。

 前回は家庭訪問で真剣勝負だったから、じっくり見ている余裕がなかったが、今日は俺の手伝いということを意識したのか、シャツワンピースに細身のジーンズ。

 シンプルな服装でも、十分可愛い。

「安西、今日は何の日だ?」

 4月1日だぞ。

 やっと、気づいたか?

「……もしかして私、4月バカですか?」

「そうとも言う」

 ついつい、笑いが込み上げてしまう。

 すると、安西が膨れっ面を見せて叫んだ。

「先生! 冗談きつすぎるよ! すっごく心配したんだから! こんな手の込んだ冗談、心臓に悪いよ!」

 確かに。だけど、お前には直球しか効かない。

 会って話さないと伝わらない。

 俺達が落ち着いて話せる場所は、限られているから。
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