可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 そして、少し腕の力を弛めて安西の顔をのぞきこむ。

 これ以上ないほどの直球で想いを伝える。



「好きだ。結婚を前提に、付き合って欲しい」


 驚いて、大きな眼がますます開かれる。

 首をかしげて、震える声で問われた。

「……また、4月バカですか、私」

 ここまで言ってもまだ解らないのか!?

「冗談でこんなこと言うか!? 少しは空気読め!」

 最終手段。

 抑えが必要なのは昨日まで。今日からは実力行使も可。

 これ以上空気を読めない発言をさせないため、唇を塞いだ。

 俺の唇で。



「……眼は閉じること。もう一度、やり直し」



 有無を言わさず、また近づく。

 ぎゅっと瞑った眼から、涙が一粒流れ落ちた。

 今までのお詫びのしるしに。

 何度も優しくキスをする。

 緊張でこわばる安西が可愛くて仕方がない。

 初めてのキスも

 繰り返されるキスも

 ……そして最後のキスも

 相手は俺だけしか認めない。
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