可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「……で、返事は?」

額を軽くこつんと合わせて、まだ呆然としている彼女の反応をうかがう。

「……つつしんで、お受けいたします……」

俺が待ち望んだ答えを、甘い声で囁かれた。

「話がまとまったところで、もう一度」

今度はちゃんと、彼女の眼が閉じられる。

また、涙が一滴。

とても綺麗だと思った。


……優しくキスの仕方を教えていたら、安西のポケットの中から、携帯が鳴った。

「あ、お姉ちゃんだ」

 出ろと促す。


「もしもし。……うん。それがね、エイプリルフールの冗談だったの。
 ……うん。もうすぐ帰るよ……って、何?」

 俺を指差して携帯を取り上げた。

「松本です。先日はありがとうございました。今日から、菫さんと結婚を前提にお付き合いさせていただきます」

 電話の向こうで、お姉さんが息を飲むのがわかった。

『……どういうことでしょうか? 妹は卒業式の日、先生に何も伝えられないまま、追い返されたと聞きましたが』
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