可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「失礼しま~す」

 ……またお前か。

「どうぞ」

「先生、次の模試から政経で受験することにしたんですけど、今回の範囲はどこまでですか?」

 お、まともな質問は初めてだな。

「ん、ちょっと待ってろよ」

 俺は引き出しから、模試のガイドブックを出して出題範囲を調べた。

 本棚から教科書を出し、範囲にしるしをつける。

 俺がその作業をしている間、安西は何をしているかと思えば『ネタ帳』片手に、俺の頭をくんくんしてる。

 ……こいつ、本当に大丈夫か?

「安西、何してる?」

「ひゃあ!」

「お前、何嗅ぎ回ってんだよ!」

「いや、あの、えっと……、シャンプーは何を使ってるのかなって思って」
 
「そんなのまでネタにするのか!? ……今は、シーブリーズだ」

「じゃあ、ボディソープとかは?」

「同じくシーブリーズ」

 こだわりはない。ドラッグストアでまとめて売られていたので、適当に選んだだけだ。
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