可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 それから、好きな給食のメニューを教え合う。

 ニコニコしながら食べる安西を見ていた。

 泣いたり、笑ったり、照れたり。

 忙しくも幸せな時間だった。


 安西が皿を洗っている間に、スーツに着替える。覚悟を決めて、行くしかない。

 俺の中で、生徒と付き合うには絶対にこれを守らなくてはならない、という基準がある。

 信用失墜行為にならない為に。

 
 まず、法律上きちんと卒業してから『結婚を前提に』付き合いはじめる。

 真剣な交際ってことだ。もちろん、相手もそれに同意した上で。

 それから、保護者の同意も必要不可欠だ。

 結婚を考えているなら、遅かれ早かれご挨拶に伺わなくてはならない。

 悪い男に騙されることを、警戒していたお父さん。

 それを知っていながら、教員の俺が黙って付き合うのは心証をとことん悪くする。

 ただでさえ、よく思われない条件が揃っている俺にとって、避けては通れないのが保護者との対話だった。
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