可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「今度はお前の相手として、どれだけ俺がふさわしいか、説得する」

 安西が慌てて聞き返した。

「今日!?」

「そう、今日のうちに。先に言っとくけど4月バカじゃないぞ。
 それと、これ、渡しておく」

 仕事部屋から、大きさの違う2つの箱を持ってきた。

 卒業式の後こっそり用意したものだった。まずは大きい方の箱から。

 中に入っているのはピンクのスマホ。

 俺の番号とメアドは登録済み。

「俺名義の携帯になってる。俺専用として使って欲しい。これはホワイトデーの分」

 ピンクを買うのは、かなり恥ずかしかった。

 でも、きっと安西ならこれを選ぶと思った。

 気に入ったものを使って欲しいから。

「先生……いいの? 毎月お金かかっちゃうよ」

「この方法が一番経済的だから気にするな。俺がお前と遠慮なく話したいだけだ。そしてこれは」

 小さなベルベットの箱を、取り出す。

「18歳、おめでとう」
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