可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 誰にも見つからないように買いたかったのは、これ。

 真ん中にブルーダイヤが埋め込まれた、シンプルだが可愛らしいプラチナリング。

「お手をどうぞ」

 右手を差し出す安西。

 ……マジボケにも程がある!

「そっちじゃないだろ!」

 慌てて左手を出した。

 そっと手を取り、薬指にはめる。

「そう、これでよし。ぴったりだな」

 本当にぴったりだった。

 内心、ほっとした。

「お前の指を見て、おそらく直径がこのくらいだから、って計算したんだ」

「そんなことまでわかっちゃうの!?」

 バレンタインデーで、リボンを指に巻き付けていた安西。

 リボンにはハートの模様がついていた。

 ハート7こ分がだいたいの指周りで、そこから計算した。

「お前の『虫除け』だからな。虫に狙われやすいタイプなんだから、外では外すなよ」

 わかる奴にはわかるはずだ。

 これはかなり本気のリングだと。
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