可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 安西家に着くと、お姉さんが玄関で待っていてくれた。

「菫は自分の部屋で待ってなさいね。お姉ちゃんと先生で、お父さんに話すから」

 さすがお姉さん。俺がお願いするより前に、段取りバッチリらしい。

「でも……」

「菫がいない方が、お父さんも感情的にならないから」

 その通り。

「わかった。お姉ちゃん、お願いします」

「任せて!」

 そして、安西が不安げな表情で俺を見上げる。

「先生……」

 今度は『教員』としての話し合いじゃないから、心配なんだろう。

「大丈夫。あのお姉さんがついてる限り」

 あまりにも心配そうな様子だったので、耳元で囁いた。

「……黙って部屋で、明日の準備でもしてろ」

 すぐに真っ赤になった。わかりやすい奴。

 俺の顔を見ないようにして、急いで二階へ上がってしまった。
 

 お姉さんの後をついて、リビングに入る。

 安西家はこれで2回目だが、前回と今回ではまるで話し合う内容が違う。

 ……まだあれから3ヶ月足らず。

 安西のご両親は、前回と同じ場所に座って俺を待っていた。

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