可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 俺も、前回と同じ場所に座る。

「桜、先生にお茶をお願い」

 お母さんに言われて、お姉さんがキッチンへ向かった。

「桜からつい先程聞きました。先生から大事なお話があると」

 お父さんにこう切り出された。

 多分、見当はついているような感じだな。

「はい。こんな時間帯に、しかも急にお伺いして本当にすみません。今日は、教員としてではなく、ただ……」

 受け入れてもらえるか判らない。

 でも、誠意はきっと伝わるはず。

「菫さんに惚れた、一人の男としてお願いに参りました」

 もう、後戻りはできない。

 ご両親、特にお父さんの顔を見ながら話す。

「今日、菫さんに私の気持ちを伝えました。結婚を前提に付き合って欲しい、と。
 菫さんも、在学中から私に好意を持っていたようで、受け入れてくれました」


 お姉さんがお茶を運んでくれた。

 俺だけにわかるようなウインクをひとつ。

 ……まだ、黒いオーラは出ていないな。
< 225 / 282 >

この作品をシェア

pagetop