可愛い生徒(カノジョ)の育て方
『先生ったら、まだ癖が抜けないのね。

「先生、ここではお嬢様なんて言っちゃダメ。みんなと同じように『斉藤』って苗字で呼び捨てにしなくちゃ」

「しかしお嬢様、それでは私の気持ちが……」

「だって、先生はもう、我が家の使用人ではないでしょ? 先生は私の……」

 そう言って、私は先生の背中にそっと手を回した』


 ……おいおい、今度は体育教官室でイチャつくのか?

 まあ、前回の場所よりここの方が見つかる確率は下がるな。それはそれで問題あり、だが。


『するとそこに、誰かの足音が聞こえてきた。

 あわてて私は先生から離れる。

 見つかったら、先生が大変なことになっちゃう!

「お嬢様、そこに隠れてください!」

 先生が、自分のロッカーに私を押し込めた』



 マジか、執事さん。

 普通、使用人はそんなことしないだろ?

 教員用のロッカーなんて、人間が入るスペースはないぞ。
 
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