可愛い生徒(カノジョ)の育て方
『先生は一体どうするつもりなんだろうかと、ロッカーで息を潜めてドキドキしていた。

「近藤先生、特定の生徒とあまり仲良くしないほうがいいと思いますけれど」

「私は、特定の教員と仲良くするのも問題があるのです」

「どういう意味ですか!?」

「フィアンセが悲しみますから。もう、いいでしょう。お嬢様、こんな所に閉じ込めてすみませんでした。出てきていただけますか?」』


……婚約者とか、またありがちなパターンだよな。

 実際にそんな生徒がいるなんて、今まで6年間教員やってきて、見たことも聞いたこともないぞ。


『覚悟を決めて出て行った私を、土方先生がものすごい目つきで睨んできた。でも、私は負けない!』


 そりゃあそうだろう、人間が入れないような狭いロッカーから突然出てきたんだ。

どんなイリュージョンだよ!!


『私も土方先生を睨みつけながら言った。

「先生は、大学生の時から我が家の家族同然ですの。私のフィアンセに近づかないで下さる?」

 そして私は初めて、自分から先生にキスした……』
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