可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 最近の電話で、打ち明けられたことを思い出す。

 知っている。俺のストライクゾーンに入るまでの間……

 どれだけ彼女が頑張ったか。

 どれほど涙を流したか。

 どんなに不安だったか。

 それなのに、気遣いを忘れず、どこまでも俺を慕っていた彼女。

 この一年で、めざましい成長を遂げた。

 ……早く、自分だけのものにしたいと『発売日当日』強引に掴まえてしまうほどに。

 制服を脱ぎ、大学生となった菫を『彼女』として発表できる事が、素直に嬉しい。

 自分自身にちょっと苦笑いする。

 菫も確かに変わったが、一番変わったのは俺ではなかろうか?

 この俺を夢中にさせた、11も年下の彼女を思い浮かべながら、40人の生徒の前で堂々と答える。

 これでいいんだろ、菫。


「……一緒にいると元気になれる、可愛い彼女だよ」


【可愛い生徒(カノジョ)の育て方・完】
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