可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「先生、相談があるんですけど」

「何だ? 金の相談以外なら何でも受け付けるけど」

 そう、金の切れ目が縁の切れ目だからな。

 俺が真面目に答えてるのに、ため息をつく奴があるか!

「実は……モデルになっていただきたいんです!」

「へ? モデル? お前、美術部だったのか? ちょっと、ヌードは勘弁して欲しいけど、どうしてもって言うんなら……って、高校の美術部でそんなもん書くのか!?」

 一瞬、ダビデ像の格好をして立つ俺を、目の前の女生徒が真剣に描いている様子を思い浮かべてドキッとした。

 そんな俺を見て、女生徒が吹き出した。

「違いますよ~。小説のモデルです。私、学校の先生のこと何も知らないから」

 そっちかよ。思わず俺も吹き出した。

「なーんだ。俺、ダビデ像ばりのモデルになってる自分を想像しちゃったぞ」

 女生徒、大爆笑。

「そんなに笑うなよ。モデルって言ったら、普通そっちを想像するだろ?」

 笑いながら、何とか話そうとする彼女。

「すみません、言葉足らずで。でも、どうしても先生にお願いしたいんです」
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