可愛い生徒(カノジョ)の育て方
「じゃあ、先生はどうして担任持ってないんですか?」

「そりゃ、来たばっかりで学校の実情も知らないうちに担任持たせて、学級崩壊させたら困るから、だろ」

 いきなり持つのももちろん2校目からだとアリだが、俺は希望を出していなかった。

 今は担任業務より、勉強がしたかった。

「なるほど~」

「そ。ましてや大学卒業したばっかりの初任者がいきなり担任を持つなんてことは高校では普通あり得ない。」

 さて、これから俺の感想でも聞かせようか。

「初任者研修ってモンがあって、採用1年目はかなりの回数、研修に行かなきゃならない。出張ばかりで経験も何もない奴に担任持たせて、崩壊させる訳にはいかないからな」

 安西が、ちょっと顔を曇らせた。気付いたな、きっと自分の小説のことを話されてる、と。

 とりあえず、今回はちょっとソフトに言っておいてやるか。

「ま、副担あたりにしとけ。」

 納得したような顔をして、頷いていた。

 なかなか素直な奴なんだよな。
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