可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 そうそう。大森先生の数学で1を取ってたらしいな。

 ということは、その時の通信簿には1から5までが揃ってたという訳か。

 他の教員もなんとなく納得したらしい。

 俺はそばを飲み込んで、話を続けた。

「安西には今、好きな奴がいますよ」


 ……俺様教員と執事様教員ですけどね。

 
「え、松本先生、何で知ってんですか?」

「最近、準備室へよくその相談に来るんですよ」



 ……俺がネタにされてるだけなんですけどね。


「そうですか~。まあ、もともと渡辺と安西じゃ、合わないような気もしますよね~。あいつにはそれとなく、相手がいるらしいって伝えておきますよ」

「そうですね。あまり受験間近になるより、今のうちに伝えておいたほうがいいですよね」

 渡辺と安西の話はそれで終わり、次は2年生の話に移った。

 渡辺への少しの罪悪感と、安西の勉強の邪魔を排除できたという安堵感を胸に。

 残りのそばを美味しく頂いた。

 
……帰ってから、また小説を読んでやるとするか。
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