可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 ……どうせ他に、若くて頼みやすそうな教員がいないから、だろ?

 面倒な奴に捕まったな、俺。

「モデルって、何すればいいんだ?」

「そうですね~、普段のお仕事の話とか、お休みの日は何をしてるのか、とか」

「ふ~ん。で、どんな小説でどこに発表するんだ?」

 この生徒の名前は……安西菫(あんざいすみれ)か。

 志望校は地元の女子大。

 綺麗な楷書。今どきの女子高生にしてはきちんとした字を書くんだな。

 記入された紙を見てこっそり確認した。

 まだ2回しか授業に行っていないから、全く覚えていない生徒だった。

 3年だけでも6クラスあるので、ほとんどの生徒の顔と名前は一致していない。

 安西はだいたい俺が予想したのと同じ答えをかえしてきた。

「教師と生徒の恋愛小説で、携帯小説サイトに投稿してます」

「あ~、なんか、よくある奴だろ?」

 教師と生徒の禁断の恋、とか言って、保健室でイチャイチャしたり。

『卒業するまで待てない』なんて言いながらイケナイ事をしちゃうヤツだろ、どうせ。
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