可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 セミコンが入るだけの広さの防音室を持ってるとは凄いな。

 かなりの金持ちと見た。やはり自分の給料だけではやりくりできないぞ。



『憧れの先生がすぐ近くで、私の事を見つめている。

 心臓が飛び出てしまいそうなほど、緊張してしまう。

「先生……自分でめくれますから」

「……もしかしたら僕のこと、警戒しているの?」

「そうじゃないです。ただ、先生がすぐそばにいると緊張しちゃって……」

「ふふっ。少しは警戒したほうがいいよ。もしかしたら、こんなことをされるかも知れないから」

 え! と思った瞬間、先生が私にキスをしてきた。

「騒いでも無駄だよ。ここは防音室なんだから」』



 ……ちょっと強引な王子様、な訳か。

 何だか俺もだんだん、携帯小説の流行りが理解できてきたようで、嬉しいような悲しいような。

 だが、採用2年目でこんなに贅沢できる訳がない!

 安西の夢を壊すようで可哀想だが、現実は厳しいんだよ。俺たちの財布も厳しいんだ。
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