可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 しかも、私学だと多少は許されるような設定があるにしろ、公立より給料がさらに安かったりするからな。

 私学の場合、不祥事が次年度の入学者数に即反映されるから、公立より厳しい場合だってある。

 少子化の今、私学の方が生き残りに必死だ。

 保護者と一緒によりよい人間形成を目指して、生徒を育てていく。

 その覚悟は公立も私立も同じだし、それだけに遣り甲斐のある仕事だと思う。

 ……給料は多くはないが、とりあえず安定してるしな。



 翌日、廊下で安西にすれ違った。

「安西、勉強してるか?」

「まあ、ぼちぼち」

「おいおい、真面目に予備校通いするつもりか?授業料、高いぞ~」

 その高い授業料のおかげで、いいバイト代がもらえたんだけどな、かつての俺。

「え~、現役でどっかの大学に滑り込みますよ!」

「ま、女子はそのほうがいいな」

「何でですか?」

「知りたいか?」

「教えてくださいよ!」

「今は時間がないから、講習の前に聞きに来いよ!」

 ついでに「王子様」の感想も聞かせてやるよ。

 今日は3年生の政経の講習の日。会議が終わったら、講習の準備をしつつ、縄張りに戻るつもりだった。
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